「雷神刃!!(ライジンハ)」

辺りに雷鳴が轟き、白銀の剣はそれを貫いた。

「楽勝だな」

優輝がニヤリと笑うと、微かに焼け焦げたそれが動き、火炎を吐こうと口を大きく開けた。

「邪魔…」

澪が、呟くように言うとそれは内側から爆発し辺りに肉片を撒き散らした。

「…お食事の最中には見たくない光景だな」
「そうだね」
「澪。しばらく、てか絶対に今の魔法使うなよ?」
「なんで?」
「夢に出てきそうだから…」

余りの地獄絵図に、優輝は眉をひそめて口元を歪めた。

「うん。わかった。僕もさすがに気持ち悪いし…」

使った本人である澪も、口元に手を当てて凄惨すぎる光景に吐き気をもよおしていた。

「ねぇ、優輝」
「ん?」
「なんでデーモンがこんなところにいるんだ?」
「…これはデーモンじゃねぇよ」
「じゃあなに?」
「亜種だ」
「あ…しゅ…。なにそれ」

スパァン!!

草原に、軽快なハリセンの音が響いた。

「いたぁ!」
「当たり前だ!!痛くしたからな!!」
「なんで痛くするんだよ!!」
「お前、校長の話をちゃんと聞いてたのか?!」
「全く」

スパァン!!

本日二度目のハリセンの音。

「二回も殴ることないじゃないか!!」
「殴りたくもなるわ!!ボケ!!亜種が何かわかんなかったら、卒業できねぇだろう」
「そうなの?」
「…お前な。校長の話の最中に何をしてやがった」
「寝てた」
「そうかよ…。もういいわ…」
「え?そんなに褒められても何も出ないよ?」
「誰も褒めてねぇよ!!とりあえず…卒業試験の内容は、亜種の原因追求とその原因の殲滅だ」
「うん。亜種ってなに?」
「姿形、能力は基のモンスターと同じだが、人間の手によって作られたモンスターのことだ」
「人間が?」
「…あぁ」
「そうなると敵は手強いね」
「何でだよ」
「それは後で話すよ。先に、何処かの町へ行かないか?僕、吐きそう…」
「うわぁぁあっ!!澪!!こんなとこで吐くんじゃねぇ!!耐えろ!!」

未だに、地獄絵図の場所から動かずに話している優輝と澪。

先が思いやられる…。
こいつらが主人公で大丈夫なんだろうか…。