HELLO

「杏樹?」

親太朗に呼ばれ、私は彼に視線を移した。

「何?」

「時間、大丈夫?」

そう聞いてきた親太朗に、
「後20分だし、間にあうと思えば間にあうよ」

私は答えた。

今日はデートじゃなくて上司の家に食事に行くと、自分に言い聞かせた。

「それにしても、今日はええ天気やな」

「…そうだね」

曇り気味の私の心とは対照的に、青空が眩しい。

「カップルたちからして見りゃ、デート日和やろ」

デートと言う単語に一瞬ギクッとなった私だったが、
「そ、そうだね…」

笑ってごまかした。