HELLO

「途中で嫌になったら、無理しなくていいからね?」

そう言った私に、
「わかってる」

祐二は微笑んだ後、唇を動かした。

「母さん――千代子さんは、俺が15歳の時に親父の後妻として片桐家にやってきたんだ。

でも旧華族出身の生みの母親の家とは違って、千代子さんのところは絵に描いたようなただの中流家庭だった。

当然、親戚からの仕打ちはひどかった。

嫌みや嫌がらせは当たり前。

千代子さんは元から引っ込み思案な性格だから、そんなことを話せる友人なんていない。

たった1人の友人である信子さんとシロさん――ああ、この人は信子さんの旦那さんの名前なんだ。

史郎だから“シロ”って、みんなからそう呼ばれているんだ。

シロさんの仕事の都合で、その当時は信子さんも海外に行ってた。

親父も仕事に手がいっぱいでそれどころじゃない。

千代子さんはいつも1人だった」