「すまん…」

呟くように、祐二が言った。

「1人にしてくれないか?」

そう言った祐二に、私は何も言い返せなかった。

同時に、もう終わったと思った。


ガチャッ

目の前のドアが開いた。

「杏樹」

親太朗が驚いた顔をする。

「どしたん?

まさか、ケンカでもしたか?」

ケンカ――そう言えたら、どんなに楽なのかな…。

泣き出した私に、
「わわっ、まず中に入りーな。

何か俺が泣かしたみたいやんか」

親太朗は迎えてくれた。