でも男の人とまともに付き合ったこともなかった私には、それ以上の反応も言葉も返すことが出来なかった。



『じゃあ.....手ぐらいは温めたろ』



突然握られた手。



私の心拍数が一気に上がる。



『冷たい手やなぁ』



彼がやっとこっちを見て微笑む。



今度は私がまともに彼の顔を見られない。


触れたいと思った手。


温かい手。


浩の手。



『じゃあ....車止めてキスしてみる?』



ゆっくり車のスピードが落ちた。



けどその言葉にはさすがに動揺し、首を大きく横に振ってしまった。



少し緩めていたスピードを元に戻し、何も言わずに彼は私を見つめて微笑んだ。



彼が、



浩が好きだ。