だけど言葉で伝える勇気は、私にはなかった。



メール。



こんなに近くにいるのに、メールで伝えるという手段を私は選んだ。




もしこれで浩が私から離れて行ってしまったとしても、それは仕方がないこと。




そう思わないと。




面倒だと感じられてしまったとしても、



何も言わないままで、自分に対しての気持ちがないんだと勘違いされて離れられるよりは、全然きっとマシなはずなんだ。





休憩中に、何度も何度も浩に伝えるメールの内容を考えていた。




そして、本当に長過ぎる言葉を用意した。



まだ送信ボタンは押せてはいないまま。




離れられても仕方がないこと。



そう考えようとしてはいても、やっぱり怖い。




浩がその言葉をどう受け止め、




どういう答えを私にくれるのか。




私はまだ、浩と離れる心の準備は出来ていない。




例えいつかは浩と離れなければいけないことは分かっていたとしても。




いつか浩は本当に、温かい場所に帰ってしまうんだとしても。




今はまだ。



今はまだ早過ぎるよ。





神様がいるとしたら、



もしも神様がいるとするならば、



どうかお願い。




浩を私から離さないで。





そんな乙女ちっくな願いを大人の私が本気で考えてしまうほど、




私は浩を愛してしまっていて、




そして、自分自身も浩に愛されたい。




そんな風に願っていた。