『実久、おはよう。今日も可愛いな』



私を見つけると浩がいつものように、明るく声を掛けてくれた。



『おはよう』



私も少し大きな声で返した。




『また仕事が早く終わった時に、俺の地元にご飯食べに行こな。まだまだ美味しいもんあるからさ』




浩は笑顔でそう言って、私の背中をポンと叩いた。



私はニッコリ微笑み、




『うん、また連れてって』



と、答えた。





本当に、



本当に浩は、何も思ってはいないのかな。



ホテルにまで行っておいて、最後に拒むなんて。



怒ってはいないのかな。



ショックに思ってはいないのかな。



私のことを、本当に嫌いにはなってはいないかな。





だけど最後まではやっぱり出来なかったけど、




浩の腕に抱かれたとき、本当に幸せだと思えた。




男の人の腕の中はこんなにも温かく、安心出来る場所なんだと知った。




浩と一つになりたい。




だけど知られたくない。




嫌われたくはないから。




だけどこのままでいいの?




このままじゃ結果は同じなんじゃないのかな。




浩がいくら私を好きだと言ってくれているとしても、




このままじゃ、浩は自分には気持ちがないんじゃないかと感じ、




私から離れてしまうんじゃないのかな。




嫌だ。




そんなのは、絶対に嫌だ。




伝えなきゃ。




ちゃんと本当のことを伝えなきゃ。