だけど眠れるはずもない。


それでも浩は私の髪を愛おしそうに撫でてくれている。




私は心臓が飛び出しそうなほどの緊張が伝わらないように、ゆっくり目を閉じ、眠りにつくフリをした。




浩が私の顔を覗き込んでいるのを感じる。




髪を撫でる浩の手がゆっくり止まり、




私の唇を指でなぞり、軽くキスをした。



そして長いキス。



私が少し目を開けると、



浩は横向けに寝転び両手を広げ、



『おいで』



と、小さな声で私を促した。




私は浩の腕の中にスッポリ入り込み、



浩はそんな私の体を強く抱きしめ、『可愛い』と呟いた。




『上、脱いでもいいか?』




浩の言葉にドキドキしながらも、軽くうなずいた。




浩は着ていた白いポロシャツを素早く脱いだ。




鍛えられた体。



少し分厚い胸板、腕。



綺麗な首筋。




全てにドキドキした。




浩が私の服に手をかけゆっくり脱がせる。




そして抱きしめ合う。




浩の体温。




温かい。




たくさんのキス。




浩が私の上に重なる。




私の心臓は押し潰されそう。




そして浩が私の中に入ろうとした瞬間、私は反射的に体を横に向けてしまった。




『ゴメン』




そう言ったのは浩だった。




私は何も言えず、視線を遠くに向けたまま。




浩は私を抱きしめ、




『今日はこれだけで十分やな』




と言って、私の髪をまた撫でた。





『服着よっか』



その浩の言葉に服を着、ゆっくりベッドから降りた。



浩はソファーに座りタバコに火をつけた。




私は何も言わずにその隣に腰かけた。




申し訳ない気持ちでいっぱいだった。