間の私は喋る事さえできず、ただ沈黙を守る




「……ツカサ」



小さな透き通るような声が届いてくる




ツカサはそれを聞いた瞬間、バッと何かから覚めたように視線を女の人から反らすと




「ジュン行くぞ。」




グイッと私の手をとって歩き出した。



「え?ちょっと…!」



あの人いいの?

知り合いじゃないの?



ツカサは止まる事なく、ただひたすらにこみ合う繁華街をひっかくようにして進んで行く




振り返った先には、もお女の人は見えなくて


私の手に握られたあの人のハンカチだけが残った……