君が愛した教室


私がせっせとゴミ回収をしてる姿は、先生たちには当たり前の様なこと。
誰もが私の事なんか空気の様に扱い、見向きもしなかった。
だから私も、自分の役割を淡々と進めるだけ。


「お、やってるね。」

初めて私の頭の上から降ってきた言葉は、とても優しい声をしていた。
背が高くて、その人を見るには顔を上げなくちゃいけなかった。

そこにあったのは、声と同様優しい顔つきをした人だった。

「お疲れ様。ついでに俺の分も頼むよ。」

「はい…」

思わぬ展開に声がいつもより一音高くなった。
私の心臓の音、聞こえてないかな…?
そう心配したくなるくらい、私の心臓は大きな音を立てて激しく振動していた。

その人は間違いなく、"先生"だった。