君が愛した教室


「長谷川、ちょっと。」

放課後、担任の先生に職員室に呼ばれた。
まあ、予想はついてたけどね。
きっと…進路調査のこと。
皆書いて提出してるのに、私だけ白紙で提出もしていないから。

「どうするつもりなの?」

担任のキツい口調が刺さる。
私は何も言えず、ただ黙って俯いていた。

「とにかく、来年のクラス編成もあって長谷川だけの問題じゃないからな。早く提出するように。」

「…はい。すみません。」

私の今にも泣きそうな返事が効いたのか、注意はそれだけで済んだ。

小学生からずっと真面目に学校生活を送ってきた私にとって、怒られるのは慣れていなかった。
だから無性に悲しくなった。
泣きそうなのを抑えて、職員室を出た。

出た瞬間、今一番会いたくない人に会ってしまった…


「あっ……」

思わず声を出してしまったことが余計、私の存在を際立ててしまった。



吉原先生はすぐに、私をみつけた。