「初めまして。佐々木右京。うっちゃんでええからな。」

この少女。

右京と出会ったのは、私が東京に引っ越して来る前の事だった。

当時、住んでいたマンションの裏で私が遊んでいたら、右京がやって来てそう言った。

「初めまして…千明です……」

綺麗な黒い目と、少し茶色がかった長い髪。

そして透き通るような白い肌を持った大阪弁の少女。

「千明ちゃん?宜しくなっ!!」

ためらいなく差し出された右京の右手。

人見知りな私は戸惑いながらも、差し出された右手をそっと握った。


それからしばらくして
私は、新しく建てられた二世帯で祖母と暮らすために東京へと引っ越した。

右京には別れを告げずに……


そして早5年…

私は、小学5年生になっていた。

ようやく大人の考えが出来るようになった頃。

「ん……?佐々木右京……。うっちゃんから手紙……!?」

東京に来て、もう5年かぁ…。早いなぁ。

とぼやきながら、5年前に出会った右京を思い出し、手紙を丁寧に開く。

千明ちゃんへ
久しぶり!!
実はね突然なんだけど、東京住む事になってん!!
だから近々会えるな。右京


「え………」

意味が分からなかった。
右京には今の東京の住所は教えてないし、もう5年以上会ってないのに、急に会いに来るなんて言われても…

住む宛は!?とか
色んな疑問が頭を駆け巡り……。

結局、どうしたら良いのか分からず…
右京との再会の日が来てしまった。