十人十色~君の声を聞かせて~








「よ……こ、い……?」













「うたしちゃん、泣いてるね」







「……?」












気づかないうちに泣いていたらしい。







わたしの頬を伝う涙を、横井が優しくぬぐってくれた。











そんなしぐさでも、あの人に重ねてしまうわたしは、卑怯者。














ダメだよ、許されないことだよ。







卑怯だよ、そんなの……。









横井をあの人に重ねるなんて、絶対いけないことだよ……。