わたしは指輪をそっともとにあった場所、左の薬指に戻した。 そして携帯をとる。 アドレスの『俊正』のところで通話ボタンを押した。 プルルルル……。 『……もしもし?』 携帯の向こうからの、愛しい声。 「……もしもし、わたしだよ? ……今から会えない?」 『……? いいけど……』 さっきの女とはもう別行動をしているようだ。 その返事を聞いてわたしは微笑んだ。