Escape from the DEAD

震える唇。

恐怖でガチガチと歯が音を立てている。

それでも。

「来生 芹です。クラス委員なんて呼び方やめて下さい。馬鹿にされているみたいですから」

芹は気丈に紅に言い返した。

その負けん気の強さに、紅は少し驚く。

只の優等生かと思っていたが、なかなかどうして、芯は強そうだ。

「来生に、相沢だな…覚えといてやるよ」

その端正な顔立ちに僅かの笑みすら浮かべず、凍てついた印象を与えながら。

紅はいささかも恐れる様子を見せずに三階の廊下を歩き始めた。