「早い内に言っておいてやるけどな」

紅は尚も振り向かずに言った。

「あのゾンビどもが生前は罪もない生徒だったとか、良心の呵責とか、そんなものはドブにでも投げ捨てろ。ここから先は綺麗事を言う奴から死んでいくぞ」

「……!」

要は息を飲む。

確かにそうかもしれない。

今、要達を取り巻く状況は異常そのものだ。

何しろ相手は人間ではない。

生きてすらいないのだ。

話し合いも命乞いも通用しない。

ただ群がり、組み敷き、食らいつくだけの獣同然の連中。

何故あんな奴らが増え始めたのかは、今はどうでもいい。

大事なのは、『殺らなければ殺られる』という事だけだった。