しゃがみ込んだまま、見上げる芹。

腐臭を漂わせながら息を吐くゾンビ達。

濁った眼球が芹を凝視する。

「あ…あぁぁ…」

駄目だ。

本能的に彼女は悟る。

今からじゃ弾薬の装填は間に合わない。

自動拳銃も持ってはいるが、それを取り出すよりも先に、ゾンビに組み敷かれてしまうだろう。

先程スコープ越しに見た光景が思い出される。

(今度は私が生きたまま食べられる番なのね…)

恐怖でガチガチと歯が音を立てる。

暑くもないのに顔中に汗をかいていた。