どちらを選ぶのか。

言わずもがな、芹と紅の事である。

どちらも要に対して好意を抱いていた。

それが原因で反目し合っていた。

要が気づいていなかった筈はない。

芹は答えを待っていた。

少なくとも要の気を引きたかったのは間違いない。

それを優柔不断のまま、有耶無耶にしていたのは要だ。

たった一日の事とはいえ、どっちつかずのままで芹にも紅にもいい顔をしていた。

それに業を煮やしたのか、身を引こうとしたのか。

芹が屋敷を出て行った理由はどちらかわからない。

或いはまた別の理由なのかもしれない。