芹が行方不明になった。

要が事態を把握したのは、紅が起こしに来てからしばらく経ってからの事だ。

…昨夜、要と紅が就寝しようとしていた時には、まだ芹は屋敷にいた。

塀の上で射撃の練習をしていたのだ。

要が話しかけても知らん顔をして、取り付く島もなかったのを覚えている。

あれから数時間。

彼女はずっと射撃の練習をしていたのか。

それとも途中で就寝したのか。

とにかくこの屋敷からは出て行っていない筈なのだ。

にもかかわらず、今朝紅が起きてから探しても、芹の姿はどこにもなかったのだという。