Escape from the DEAD

バリケードによじ登った要が、上から見る。

バリケードに群がっているのは五体のゾンビ。

どれも要や紅と同じ制服を身につけている、かつてのこの学園の生徒の成れの果てだ。

白濁した眼で要を見上げ、唸り声を上げて腕を伸ばす。

彼らの目に映る要は、既に同じ学校の仲間ではない。

新鮮で瑞々しい、『美味そうな肉』でしかない。

この先、あんな奴らが無数にいるのか…。

覚悟を決めてきたつもりだったが、いざとなると流石に足が竦む。

その隣を。

「!!」

黒髪の女子生徒がヒラリと舞い降り、ゾンビ二体の頭を瞬時に足蹴にして踏み潰した!

グヂャッ!という生々しい音と共に、柘榴のように潰れて中身が床にぶちまけられる。

それすら意に介さず、紅は残る三体のゾンビを次々と壁に、床に頭から叩きつけて息の根を止めた。