さて…学校を脱出した要達は、改めてこの街…葺山市の様子を見る。

学校のある場所からは、葺山市が一望できる。

…一言で言うなら酷い有り様だった。

そこら中から立ち昇る黒煙、火の手。

主要幹線道路は軒並み大渋滞している。

学校だけでなく、街全体がゾンビによって被害を受けているのは一目瞭然だった。

「この街だけじゃない…日本全国どこへ行っても、こんな状態らしい」

ラジオで仕入れた情報を、要が口にする。

「日本だけならいいわ」

芹が腕組みしながら呟く。

「あの死体ども、アメリカや中国やフランス…多分世界中に蔓延しているみたいよ…噛みつかれる事で感染する伝染病…パンデミック状態なのよ」

「せ、世界中かよ…」

想像していた以上の事態。

要は青ざめた顔で言葉を失った。