ダッシュした圭矢の家。
なのに……、
何だか機嫌悪い?
どうしていいかわからなくて、洗濯物を畳んでみたり。
「けっ圭矢、ご飯は食べた?」
「……食った」
「そっか……」
この重い空気は何なんだろ?
疲れてるのかな?
あっ!
私、来ちゃ駄目だった?
チラッと見た圭矢と目が合いドキッと音をたてた心臓。
「今日、歌詞3回も間違えた」
「えっ? 間違えたっけ……えぇ?」
うわっ!
ヤバッ!
私、何言ってんのよ?!
どうしよう……。
慌てて背けた顔をゆっくり圭矢に向けると、
笑ってない、無表情で私を見つめてた。
「あっ、いや……違うの。あの……ね」
何言ってんだろ。
これじゃあ、完璧行ってました!って言ってるも同じじゃない。
「何考えてんの?」
「……」
返す言葉が見つからず、視線を落とした。
「俺、来ないでって言ったよね?」
「えっ? 行ったの知ってたの?」
顔を上げた私が見たのは、芸能人の圭矢じゃない。
私も初めて見る……赤い顔をした圭矢だった。
「圭矢……?」
「あー! うるさいっ! 雫が悪いんだからね」

