「…桃香……」
桃香は、やっぱりいた。
拓海の遺体に背を向けて、小さくなって座っていた。。
見ていたくないけれど、拓海を一人にできない。
そういう想いからだろう。
さくらに気が付くと、無表情で立ち上がった。
「…来ると思ったわ」
今から殺されるかもしれないというのに、桃香の泣きはらした顔は落ち着いていた。
しかし、さくらに対する眼差しは今まで、このゲームが始まる前とはちがった。
自分たちがこんなゲーム冗談だと言ったせいで、拓海はミッションを実行せず虐殺された。
そのことが許せないのか、相変わらず睨むように見ている。
睨まれてたじろぎながらも、さくらは口を開いた。
「ど…どうして逃げなかったの!?」
正直、逃げられると思っていた。
自分は死ぬのが怖い。
だから桃香の元へ来た。
しかし桃香は逃げなかった。
そんな桃香が不思議だった。
そんなに拓海と居たかったのだろうか。例え遺体でも。
もしそうだとしたら、光を放っておいた自分は、なんて薄情なのだろうか。
「さくらは…桃香のこと、殺すの?」
桃香の問いに、さくらは戸惑う。
殺す?殺したくない。
けれど、殺さなければ…
待っているのは、死。

