その男が大輝の前で立ち止まると、再び放送が流れてきた。
『どうぞこちらの道具をお使いください』
その言葉の直後、男は空いていた右手で白い布を取り、そのままポケットへ入れた。
それは、さほど大きくはなかった。
金属部分がぴかぴかに磨かれており、金属特有の輝きを放っている。
持つ部分は明るい赤で、やはりそこも同様に綺麗に磨かれているようで、汚れ一つ見当たらない。
"それ"は―ペンチだった。
いや、ペンチなんだけど、ペンチじゃない。普通の、世間一般のペンチではないようだった。
放送は続いた。
『こちらは今回のゲームのために造りました、特別なペンチです。簡単に爪を剥がせるようになっております』
ゾッとした。
わざわざ特別なペンチを造るなんて、まるで誰かが逃げ出すことを予期していたようだった。
大輝をはじめ、その場の全員が"爪を剥がすための道具"から目を離せなかった。

