小学5年頃から、父が急にウチを構うようになりました。

と言っても、隣の駅前がスナック街でして、行きつけのスナックにウチを連れて行くと言う楽しみを見つけたようです…

この歳からコークハイを覚え、当時の最先端のカラオケ『ハチトラ』で何故かこのウチ『大阪ラブソディ』を熱唱!

小学生が、マイクを通してスナックで唄う光景…なんか変…

でも、子供が唄う事が、お店の方やお客さんも新鮮なのか、褒めてくれたりチップをくれたり…

今までに味わったことのない感情が…

皆、ウチを構ってくれてる…ウチを見てくれてる…

凄く嬉しかった…熱いものが込み上げるほどに…

もっと、自分を見てもらいたい気持ちから、歌に当て振りを付けたり、お客の席を回ったりして、もっと…もっとウチを見て…ウチ、ここにいるよ…心の中で叫びながら唄っていました。

父はこの光景を黙って見ていました。

帰り際、父が

『楽しかったか?』

と囁いた…
酒臭い父から、何となく優しさを感じました。

それから、度々学校が休み前には、連れて行ってくれるようになり、ウチのファンが出来ていました。

でも、やはり普段は、母の様子を見ながら暴力の日々…

本当の父なのに、ギャップを感じはじめ、血の繋がった身内すら信じられないことを悟った…

6年生の大事な時期も、やはり同じ…

変わるのは、ウチの体だけ…胸が膨らみ、女性らしく体型が変わり始めていました。

6年生にして、身長が170cmを越し、大人の女性の体型へ…

ある日、ピアノのレッスン帰りに痴漢に遭いました。すれ違い様に胸を揉まれたのです。

その事を母に報告すると、爆笑して終わり。その事を父に報告したのか、その後、父の目は胸ばかり見るようになりました。

お風呂の時も覗いたり、下着をやたらと聞いてきたり…

ウチの心の声は一言だけ…『キモい!』

間もなく、中学生になる為の準備が…
制服や鞄等、真新しい物を買い揃えはじめていました。

後に、ウチにとって更なる試練が訪れようとしてるなんて、知る由もありませんでした。

いよいよ、入学式当日の朝…大人の証拠でもある生理が始まったのです。
『血が…血が出てる…』

と母に言うと
『邪魔くさい子やなぁ〜!』