「はあああ…」
「えっ!お…はよう唯。珍しいね?やだ、私傘持ってきてないわ」
「澪ちゃん…もっと素直に褒めてもいいと思う」
澪ちゃんは本当にびっくりしてて、ずっと窓を見ている。
「そんなにアタシ遅刻してるかなあ…」
「してるよ☆」
「わっ!おはよう沙希ちゃん」
「おはよう☆だって唯、2年生になってから今までほぼ毎日遅刻だもん♪」
えっと、今は4月の後半…。
って、もうやばすぎじゃん!
「そ…そうだったんだね」
「まあ聖夜もそんな感じだけどね~♪」
あ、そっか。
亘理聖夜は沙希ちゃん家に住んでるんだっけ。
「ねぇねぇ、何で沙希ちゃん家に…」
「あっ、ごめん唯!池先呼んでるから後にして;;」
そう言って、沙希ちゃんはスタスタと池先のもとへ走っていった。
「で、昨日はどうだったの?」
澪ちゃんが窓から戻ってきたようだ。
「ん?なんかね、毎朝迎えにきたらいいって…」
「へ~何?朝からイチャつくの?」
「変な冗談やめてよ!絶対ありえないからっ!」
「ふふ。ムキになるところがまた可愛いわ」
「も~!澪ちゃんの馬鹿っ!」
アタシは自分の席へ向かった。

お昼休み。
「今日は給食じゃないんだね」
アタシは変てこなことを言う。
「は?先生言ってたでしょ?」
「そ~なんだ~」
…。
言えない。弁当落としたなんて…。
ああもうっ!
どこに落としたんだろう!
「まさかあんた、忘れたの?」
「いえ、落としました…」
言えないけど言っちゃいました☆
って、のんきなこと言ってる場合じゃないでしょアタシ!
「…あんたって人は」
ピンポンパンポーン。
『あーあー。んんっ。2年A組の安藤唯さん安藤唯さん。至急屋上までどうぞ~。1分以内に来なかったらお前の恥ずかしい話流すぞ~。繰り返します~…ってわっ!やめろ池先!ぎゃ~~…』
…。
なんだ今の放送。
「…今の声、亘理先輩だよね?」
「安藤さん、何かしたのかな…。この間も呼び出されてたし…」
なんて女子の声。
「とりあえず行ってきたら?」
澪ちゃんに言われ、アタシは教室を出た。
でも…。
「澪ちゃん!」
「1人で行きなさい♪」
一緒に行こうと言おうとしたアタシを見透かしたかのように澪ちゃんに送り出された…。