――…。
沈黙が流れる。
「入れよ」
沙希に口を開いたのは亘理聖夜で。
とりあえず空気に身を流されるままアタシは部屋へ入った。
「お、邪魔します」
わあああ…。
男の子の部屋ってこんな感じなんだ…。
なんかもう、漫画でありそうな部屋かと思ってたけど個性のある部屋だ…。
亘理聖夜の部屋には大量の小説と大量の午前ティーのペットボトル(and缶)があった。
「で、用件は?…まあ俺は何言われても断るけど」
あいかわらずな奴…。
イライラするっ!
「あの~本当にお金ないんです!毎日150円?なんか払えません!」
ただでさえ少女漫画をたくさん買ってるのに…(それでも足りない)。
ここから削るなんてありえない!
「何?代わりに体で払ってくれんの?」
亘理聖夜がこっちに近づいてくる。
「っ来ないで!」
アタシ、こういう場面知ってる!
漫画で見たことある…。
「ばーか。そんなわけねぇじゃん、てめぇになんか興味の欠片もねぇよ」
…。
こういう場面も見たことあるけど、実際自分が言われるとこんなにも腹が立つのか…。
「じゃあ、違う条件も出してやろう」
は?今なんて…?
アタシの聞き間違いじゃない?
「マジすか…?」
「マジ。毎朝俺ん家に迎えに来る。俺、これ以上遅刻したらやばいんだよね。まあ中学だからそんな事はないだろうけど…。とにかく、それでOK?」
毎朝…。
起きれるかな、アタシ。
でも、150円よりはずっと…マシ!
「はいっ!もちろんです!」
「その代わり」
まだ条件があるの?
「週1で俺に午前ティーをおごること。缶でいいから」
…。まあ、毎日よりはいっか。
「はい…」
「じゃ、そういう事ではやく帰れ」
…はああああ?!
何?今ちょっとだけ甘い雰囲気になってたのに!
コイツ…ムード壊しの天才だなっ!
まあ、明日からは絶対はやく起きてやる!