な…チャイムも押さずに……。
「おかえり~♪ママの作った桐谷ティーならあるよお♪」
「おお、サンキュー…って、ニヤニヤ女!」
「安藤唯です!」
コイツ…今気付いたのか…。
とことんムカつく!
「何してんだよ、人ん家で」
は…あああああ??!!
ここは沙希ちゃんの家でしょおおがあああ!!
「あーごめんごめん説明してなかったね♪実は、沙希と聖夜は分け合って同じ家に住んでるのだ☆」
…。なんてこった。
沙希ちゃんの家に遊びに来たことは初めてじゃないけどこんなことは初めてだ…。
「じゃあ、本題にいきますか」
澪ちゃんが本題を切り出す。
「はい、沙希どうぞ♪」
って、沙希ちゃんに任せるんかいっ。
「コホンッ。え~っと唯のことなんだけどお」
「断る」
は?
そう言って亘理聖夜は階段を上がっていった。
「…だって♪残念唯☆」
「いやもっと説得してよ。てかまだ説明してないよね?!」
「じゃあ用も済んだことだし、バイバイ沙希、唯」
「まったね~♪」
そう言って澪ちゃんと祐君は帰っていった。
「ね…ねぇ沙希ちゃん!」
「でもぉ~、聖夜は頑固だから何言っても無駄だからぁ~」
「誰が頑固だって?」
2人で話していたら亘理聖夜が降りてきた。
「げ!亘理聖夜!」
「うぜぇ」
む…っかつく!
「もぉ~!沙希の友達にそういう事言うのやめてよねぇ~!」
「お前のがもっとうぜぇ」
そういって、亘理聖夜は冷蔵庫から桐谷ティーを取り出して階段を上がろうとした。
「ちょっと、亘理聖夜!」
アタシが止めた。
「何?俺部屋戻りたいんだけど」
超面倒くさそうにアタシを見下ろす。
「…今朝の事は謝ります!だからせめてクリーニング代にしてください!」
「やだ」
「お願いします!アタシそんなにお金ない!」
「やだ」
…こいつ。
こんなやりとりをしてる最中、沙希ちゃんが誰かと電話してる。
「ん?はあい♪わかったよぉ☆」
沙希ちゃんはこっちに向かってきた。
「ちょっとおつかい頼まれたから行ってくるねぇ♪あ、唯は聖夜の部屋でゆっくりしてって♪じゃあ行ってきます~♪」
沙希ちゃんにぐいぐい2階に押され、アタシ達は亘理聖夜の前に立った。