「誤解されちゃったね。」

 そう言って俺の方を見上げたチカの姿は白々しく見えた。


 そして一つの疑惑が生まれる。


 そう、ノートの一件。


 もしかしてワザとじゃねえの?


 …何の為?


 そういや、最近チカとちゃんとしゃべってねえか。


 望さんへの思いに気付いてから中途半端な関係は断ち切ったしな。


 俺を呼び出す為の口実?


 俺に疑われている事に気付いていないのか、

 「ねえ、お茶行こ?」

 と、チカは誘ってきた。


 真意は解らないがチカの企みには乗らない。


 「いや、帰るよ。」


 「え?いいじゃん。せっかく出て来たんだし。」

 チカは俺の袖を掴んだ。


 …もう、誤解されたくねえよ。


 振り解こうとしたら、また背後から声がした。


 「チカちゃん、お疲れ様ー。」


 その声にハッとした。


 あれ?この声、俺知ってる。


 俺はすぐさま振り向き彼女か確認した。



 ーこんな所で会うなんてー



 そこには望さんが立っていた。