その後、20分ぐらい経ってからチカから電話が来た。


 「何でヒデが持ってるの?」

 チカが声をひそめてしゃべるから声が聞き取りづらい。


 「知らねえよ。こっちが聞きたいぐらいだ。」


 「今、バイト中だから手短に言うけど、」

 なる程。だから小声で話すのか。

 「そのノート友達に貸さないといけないんだ。だから持って来てくんない?」


 「はあ!?俺が?」

 突拍子もないことを言われ、つい声が荒くなった。


 「9時には終わるから。ねえ、お願い。」

 「明日、学校でもいいだろ。」

 「私、明日は授業ないんだ。ヒデの家から遠くないし、いいでしょ?」


 「だからってどうして俺が…」

 「じゃあ、お願いね。」


 ガチャ☆ ツーツーツー…


 うおっ!! チカの奴、電話切りやがった~!