水曜日の彼女

 「しかし、その彼女の名前とか全然知らないんだよなあ。」

 アキラがテーブルに並んでる塩辛をつまみながら聞いてきた。

 「ああ、知らない。」

 世間話をするようになって仲良くなったつもりでいるが彼女の事は何も知らない。

 知っている事は見た目は近寄り難い雰囲気を出しているが、以外と気さくに話してくれるぐらいだ。

 俺の事も何一つ知ってもらえていない。


 「…駄目元でメル友になって貰えるよう頼んだら?」

 ちょっと考える素振りを見せたかと思ったらアキラはとんでもない事言い出した。


 びっくりしてビールを吹き出しそうになる。


 「はあ!? お前、本気で言ってんの?」

 「本気だよ。だってこれからどうするつもりなんだよ。まさか、今のままでいいって言うのか?」
 「そ、そんな事ねえよ。」

 「だったら何かの方法でこっちから近づくしかねえだろ?」

 俺が口を挟ませる間もなくをアキラは続けた。


 「いきなり告るのもなあ。メル友ぐらいが重くなくていいんじゃね?」


 ううっ、確かにアキラの言い分は正論だ。何も言い返せない。