講義には出たものの内容なんて全く頭に入る訳ない。


 本当はもう一限あるが限界なので帰ることにした。


 「やっぱり帰る?」

 振り向くとチカが立っていた。

 「はい、あげる。」

 そう言って手に持っている物を目の前に差し出した。


 ウコンと書いてある。栄養ドリンクか。


 「二日酔いに効くらしいよ。」

 「…まずそうだな。」

 「まずい方が効くの!薬だってそうじゃない?」

 「 まあ、確かにな。」

 「早く良くなってね。」

 「ああ、ありがとな。…じゃあ。」

 そう言って僅かな力を振り絞り手を上げた。

 「バイバイ 。」

 チカは元気よく手を振った。