全く話が噛み合っていない私達。



「え、ちょっと、何で耳?本物…なわけないよね」

「おいだからテメェ何でこんなとこに、って勝手に触んじゃねぇ!」


ふに。ふにふに。
おお、柔らかい…。



「……ほん、もの?」

「…あ?本物に決まってんだろうが」


そう言って美形さんは耳から私の手を離した。
その後にぴくぴくと耳が揺れたのを見て私は思わず耳を凝視してしまった。



「…んなに耳が珍しいかよ」

「そ、そりゃあ…あなた人間じゃないの?…あ」


何か視界の隅でふさふさしてるものが…と思ったら。



「尻尾だ…」



髪と同じ色の尻尾が立派にふさふさしていました。

し、信じられない…



「おい女」

「へ?」


ふっさふっさ揺れる尻尾に目を奪われて、突然の呼びかけに間抜けな声を出してしまった。



「テメェ…俺のことを人間じゃないのか、って聞いたな」

「あ、はい…」


今となってはそんな分かりきったこともういいけれど。


でもやっぱり目の前の人が何なのか、それが知りたくて私はじっと見つめた。