大江戸恋愛記


凛side


『ばっかみてぇ』



俺はガキが死妖に殺されようが、ましてやあの女がどうなろうが関係なかった。










関係、なかった











気付いたら俺は女のところに行っていた。


あと一歩遅かったらコイツらはやられてただろう。


死妖の振り下ろされた腕を素手で止め、その腕を切り、とどめに狐火で顔を燃やしてやった。

すると死妖は死んだのかボロボロと灰になり、風で散らばっていった。



ちょれー奴だ。


俺は手をパンパンと数回叩き、ババァの方を向いた。



『おいババァ。ちゃんと確認したのかよ、生きてたじゃねぇか』


と、皮肉たっぷりに言ったつもりがババァは聞く耳持たずで俺の後ろへと駆け寄ってきた。



『ゴラババァ!無視すんじゃ…』

『紫苑!大丈夫か!?紫苑!』




紫苑……?



ババァは倒れていた女を抱いて、紫苑と名を呼んでいた。



『もしかして、どこか怪我を…!』

『おいよく見やがれ。気絶してるだけだ』



オロオロしてるババァに一言言い放って、俺は女の腕を掴んだ。



…ほせぇ。ちゃんと食ってんのかコイツ。


『おい凛!乱雑に扱うな!』

『うるせぇよ。どうせこの女家に連れてくつもりだろ』



俺は女を背に乗せて、ババァに向き直った。


別に手助けしたわけじゃない。俺も家に用事があったからついでだついで。


『…凛、お前…。っああ!お前さんも無事か!?よかったよかった』


驚いたように俺を見たババァが、次にはガキの方にやっと気が付いて声を上げた。










ガキの母親がじきに来て、ガキを連れて行った。

俺がいると面倒なことになりそうだから森の中に待機していた。