大江戸恋愛記


凛side





今日の朝方、奇妙ななりをした女に会った。


しかもあの木にもたれ掛かってやがったから、叩き起こして殴り飛ばしてやろうかと思ったけど、やめた。

普通の人間はこの木に近付いてこれないはずだ。

周りに結界が張っていて、限られた奴しか近付けない。


でも、どうしてこの女がここにいる?


俺はその真相を知るべく女が起きるまで木の上で見張ることにした。










「―…いい加減起きやがれクソ女」


数刻ほど待ったが、まだ女は目を覚まさない。

俺は我慢出来ずに、もう叩き起こしてやろうと下に降りようとした瞬間、女の体が揺れたのを見た。





「やあっと起きやがったか…」


下に降りようと構えていた態勢を、静かにあぐらに変える。

俺は注意深く女を見下ろした。


何をし出すか分からねぇからな。変なマネしやがったら即お陀仏にしてやる。

俺は笑みを浮かべた。



が、






「……あ?」









…泣いてやがる。


女は肩を震わせて泣いていた。


何で泣いてんだ、この女。
目が覚めた途端に泣くって、何か怖い夢でも見たのか?


……分かんねぇ。


俺は首を傾げて女の行動を眺めていた。





しばらくして、泣き止んだ後女は辺りを見回しだした。



そして、ここはどこだとぬかしやがった。




はあ…?頭イッてんのかコイツ。


今いる場所が分からなくてどうしてここにいんだよ。



俺は不思議だった。


すると女は立ち上がり、木に手のひらを合わせていた。


その瞬間、木が反応したかのように熱くなった。



「な、なんだ…?」



その熱さは一瞬で消えてしまったが、俺は鼓動が何故かばくばくいっていた。





(何だ…この女)








そう思った次の瞬間、俺は声をかけていた。








この女が何なのかを知るために。