「…梅ばぁちゃんは、アイツのこと、好きなんでしょう?」

「ほっほ、そりゃあの。憎まれ口を叩くが、大事な一人孫だからな」


そう言う梅ばぁちゃんに、私は自然を笑みを浮かべた。



「…紫苑。ぜひ、凛を許してやってくれ。アイツも好きで人間を嫌いになったわけじゃあないんだ」

「…うん、分かってるよ。むしろ私が悪いことをしちゃったから」


事情も知らずに、好き勝手言ってしまったさっきの自分が恥ずかしい。


思わず溜め息を吐いて何気なく外を見たら、辺りが暗くなりかけていた。


「うわ…もう暗くなっちゃってる」

「ああ、本当だな。腹へったろう、今支度をするからな」

「あ、お構いなく!そこまでお世話になるわけにはいきませんし…」


勝手に倒れて家に上がらせてもらって、夕飯までお世話になるなんて図々しいことは流石に抵抗があった。

…って言っても、これからどうするかも決まっていないんだけど。


「何を言っておる。他に行くところもないんだろう」

「う……」


図星です。私が反抗出来ずにいると、梅ばぁちゃんはフッと笑って何処からか何かを取り出し私の方に向かって来た。


「ほら」

「……まんじゅう?」

「これを持って凛を探しに行ってくれないか?アイツは、まんじゅうが好きなんだ。…飯が出来るまでまだ時間がかかるから」


私はまんじゅうを受け取った。


「…うん、分かった」

「宜しく頼むぞ、紫苑」


そう言って梅ばぁちゃんは戻って行った。






梅ばぁちゃんは、私とアイツに仲直りさせる時間をくれたんだと思う。



私は立ち上がって、


「行ってきます」




とだけ言って家を飛び出した。