(最悪!授業遅刻しちゃうじゃない!!)
変質者が現れたせいで、うっかりしていた。
ふと時計を見ると時刻は9時。
急いで支度して、朝ご飯も食べずに大学へ行くはめになってしまった。
「もうっ、今日は松中教授の講義だったのに…!」
「亜子ちゃんどうしたの?」
バンっと教科書を机に置いた私に笑いながらおはようと声をかけてきたのが美咲。
今日も茶髪に綺麗な巻き髪でお化粧もばっちりきまってる。私なんかとは違って、まるで朝6時にでも起床して用意してるんじゃないかと思って尋ねたら、5時起きだと訂正されたことがある。
見た目と相反して、中身はおっとりした天然系女子なのだが、たまに吐く毒には要注意。
「……ちょっと朝から忙しくて…。」
「ふぅん。亜子ちゃんはいつも忙しそうだけどねぇー、基本的に授業駆け込んで来るしー。」
痛い所を付かれて、軽い笑いが漏れた。やっぱり美咲は侮れない…。
まさか知らない人が家に入り込んでて揉めていたとも言うことが出来ずにいると、ぱっと表情を変えた美咲がところで、と話を振ってきた。
「昨日亜子ちゃん珍しくアド交換してたけど、どうなったの?」
「え、どうって…どうも?あ、そういやメール来てた気がするけど…」
「えーっ、なにそれ!由梨ちゃんと、今度こそは亜子ちゃんに彼氏が出来るのかなって昨日盛り上がってたのに!
な~んだ。じゃあ遠慮せずに私も咲斗君狙えば良かったぁ。」
ぷぅと頬を膨らます美咲をごめんごめんと宥めた。
昨日はクロが家に来てたし、朝はいろいろあったしで携帯を見る暇がなかったんだよね…と思いながら携帯を開けた。
