「よう…?」



「洗って」



洗面所に連れてこられ洗面台の前に立たされると、不安になって鏡ごしにヨウを見た。



(外から帰ったから手洗い…?)


オロオロしつつも手を洗いキュッと蛇口を閉めて、また鏡ごしにヨウを見るも俄然不機嫌モード。


「洗ったよ…?」



外から聞こえる小さな雨音と、浴室に通じる室内のせいか私の声だけがやけに響いて聞こえた。


「一番ばい菌がついてる所がまだだよ」


そう言いながら私の口元を見つめるヨウに、慌てて水を出しゴシゴシと擦った。
私が洗い終えると、ヨウも同じように唇を水で洗い流す。



「あー最悪、あんなやつと間接キスなんて胸くそ悪ぃ…」



濡れている口元にタオルを渡そうとすると、ぐっと引き寄せられ熱い口づけを交わされた。




「……んっ…」


息が上がりきった頃にようやく離れる唇。
息を整えながらヨウを見るも、やはりまだ表情はなく背筋が震えた。



「脱いで」


「っえ?」


「脱げないならそのままでいいけど」



これまた急な発言に混乱していると手を引っ張られ浴室へと連れられた。