「じゃあ、行ってくるからね?」


「行ってらっしゃい。早く帰ってきてね?」



玄関先でそう言いつつも腰に手を回し熱く口づけを交わす。



「んぅっ。もう!わ、分かったから!」


顔を赤くして離れて行く亜子を手をひらひらと振り送り出した。
行ったのを確認してから急いで身支度を整え、家を後にする。

やっぱり亜子とあいつを二人きりにするわけにはいかない!、と思ったヨウは秘密で尾行することに決めたのだ。


(もしも亜子になんかしやがったら、次は本気で殴ってやる!)





ランチは最近若い女性に人気だという駅前のパスタ専門店に行くと亜子から聞いた。
そのお店自体行きたいと思っていたそうで、心なしか少し亜子がウキウキしているように見えたのはショックだが気づかないことにした。





「いらっしゃいませー」



コソコソとキャップを深く被り入店する。
こんなところ亜子にばれたらなんて言われるか分かったものじゃない。




「お一人様ですか?」


「…いやーあのー、俺は一人なんだけどね。
少し前に男と女が入って来なかった?大学生くらいの…」


「ああ、多分来ましたよ?
お似合いの美男美女カップルですよねっ」


店内をキョロキョロと見渡しながらのその一言に胸がムカっと締め付けられた。

似合ってねぇし!カップルじゃねぇ!!!


「うん。でも俺のがいい男、でしょ?」


そう耳元で囁くと、ウェイターは顔を赤くしていた。