「だーかーらー、約束したって言ってたでしょ?ね?」


「知らない!絶対みとめない!!!!」



確かに伝えたはずなのに、前日になって知らんぷりを決め込む私の彼氏、ヨウに困ったものだとため息をついた。


「亜子のばか…」


「ちょ、ちょっとぉ…」



拗ねて布団に包まり出したのは、事を終えた深夜二時。
甘い雰囲気の中でそれとなく呟いた一言をヨウは許そうとしなかった。
本当に子供みたいなんだから…。


「ね?ヨウ、分かって?すぐ帰ってくるから…」



「分からない。っていうか分かりたくもないし。
亜子は他の男気にしてる余裕があるんだね?
俺は亜子でいっぱいいっぱいなのに…。
そんなに足りないなら、俺のことしか考えられなくしてあげる。
覚悟出来てんでしょ?」


二度目のエッチに盛り込もうとしたが、それは冷たい亜子の視線に憚られた。


「ヨウのばか…っ!私はヨウが好きってこと、なんで分かってくれないのっ?
そんなに信用ない?わ、わたしだって、ヨウかっこいいから毎日ふあ、んだけど、信じてるの…にぃ…っ」


話しながら泣き始めてしまった亜子にやってしまったと後悔を始めた。



「わ、分かったから、泣かないで?
もちろん信用してるけど、亜子の視界に俺以外の奴が入り込むのが許せないんだよ…。
だから、信じてるとかそうじゃないとかじゃなくて、俺のワガママ。
亜子のことは信じてるよ?だけど、亜子に寄って来る男は何をするか分からない。
どんな手を使って俺から亜子を奪おうとするか分からない。
だから、簡単には送り出せないんだよ…」


そこまで言うと、涙で目元を濡らした亜子と目が合う。
あまりにも余裕のない自分の本心を曝け出してしまったことが恥ずかしくて背を向けて目を閉じた。



「ヨウもしかして…照れてる?」


体を引っ張って向きを変えさせようとする亜子に抵抗する。
体全体が心臓になってしまったかのように熱い。



「ヨウ…可愛ぃっ…」



後ろで嬉しくも何ともないことを呟いた亜子が笑顔なことが声調から分かる。
何を思ったのかクスクス笑いながら背中にキスを繰り返してきた。