「はやく、亜子座って」
おずおずとその場に座り出そうとする亜子。
「そーこーじゃーなくてー、分かってるでしょ?」
ソファの上、座る俺の膝の上をぽんぽんと叩いてみせると、亜子の頬に朱が滲む。
そう、今俺は亜子を膝抱っこしようと奮闘中なのだ。
「へ、変なことしないって、言ったくせに…!」
「恋人を抱っこすることが、変なこと?愛してるならスキンシップはあって当たり前でしょ」
「…〜〜〜〜っ!」
ある意味正論だと言えることを言うと、言い返せない亜子はただただ顔を赤く染めた。
「…重いよ?知らないからねっ!」
そう言いながら、俺に背中を向ける方向で亜子が俺の足の間に腰を下ろした。
「…そっちじゃなくない?」
自分の膝の上に手を重ねておいたままちょこんと座っている。
まぁ、恥ずかしいんだろうけど。
「はぁー、落ち着くーーー」
ぎゅうっと後ろから腕を回して、包み込むように抱きしめた。
