「ね、ヨウ。」
手を繋いで歩く帰り道、亜子が小さい声で呟いた。
「ん?」
二人の関係の発展に終始顔を緩ませている俺は隠すこともせず歩き続ける。
「あのね、今度ね、今度なんだけどね…」
そこまで言った亜子は言いづらそうに口をモゴモゴさせている。
「あこー?何か言いたいことあるなら、言って?
俺は亜子のこと全部受け入れるよ?」
俺の可愛い可愛い恋人。
俺がそういうと、少し疑うような瞳が残るものの口を開いた。
「…怒らない?」
「怒らないから、言ってみ?」
「…その、佐土先輩と今度食事することになって…」
「…はぁ!!?」
佐土先輩ってあいつだろ?!あの胸糞悪い男!!
ただでさえ男と食事なんて許したくもないこと、よりによってあいつの名前が出てくるんだ!?
俺たちさっき愛を確認し合ったばっかだよね?
さっきまでのラブラブな雰囲気は嘘なのか!?
「よ、ヨウ聞いて…ランチに行くだけだから、ね?」
いやランチだろうが何だろうがそんなことは関係ないんだけど。
「亜子は、俺だけじゃ不満なの!?」
