「亜子…唇にキス、してもいい?」
目元を赤く染めた亜子と目が合う。
「唇のチュウは付き合ってなきゃダメなんだよ?」
まだお預けを食らわすつもりか!?と内心思ったが、亜子に合わせていこうと思った。
「俺はいつでも返事は決まってるんだけどね」
そういって不敵に笑って見せると恥ずかしそうに亜子の目が泳いだ。
「わ、私は…、ヨウのこと…すき、なんだけど、恋愛感情なのかわかんなくて…」
「ね、亜子。俺と紫音が一緒にいるとこ見たら、ここが痛くなったんでしょ?胸がモヤモヤして、苦しくなったんでしょ?」
胸元に手を当てて、素直にこくりと頷いた。
どうやら亜子は自分の感情にも鈍感らしい。
「それってね、ヤキモチっていうんだよ。
俺のことが好きで好きで堪らないってゆう、愛の証でしょ?
亜子、もっと素直になってよ。俺のこともっと好きになってよ…」
そういうと亜子が俺の胸に頭をつけ、体を預けた。
そして小さく小さく聞こえてくる声に耳を澄ました。
「…む、無理だよ……もっと好きになるなんて……ヨウのこと、…好き過ぎて死んじゃったら、どうするの…?」
…あぁ、神様。
俺、とても幸せです。
亜子の体を起こし、目を合わせた。
顔真っ赤にしちゃって本当に可愛い。
「いい?」
そう聞くと、恥ずかしそうに目を閉じた亜子が顔を少し上げた。
優しい優しい、涙の味がするキスだった。
