亜子に久しぶりに会って、いちゃつきたい!と思っていたら、亜子は突然泣き出してしまった。
困ったことに原因が全く分からない。
何とか一目につかない場所まで歩かせて、理由を聞こうにも答えようとしない亜子。
「亜子ー?俺なんかした?」
そう聞くと否定も肯定もしない。つまりこれは肯定ってことか?
ますます困ったことになった。
一体何をしてしまったんだろう。
次は何と切り出そうかと悩んでいると亜子が口を開いた。
「わた…しっ…!ヨウの、こと…なんにも…っなん、も、知らなくっ…て…」
いきなりのことで何がなんだか分からないから続きを待つことにした。
俺のせいでこんな取り乱してんのかって思うと、
やっぱり少し嬉しくなる。
「…だか、ら……勘違いっ…しちゃっ…てた…のっ…!」
「勘違い?って何の?」
「…ヨウに……たい、せつなひと、いるの…っ知らなかった…からぁ…っ。
私っ、なんか、それ…分かってから…ずっと悲しく…なちゃって…っ」
うわーんとまた泣き始めた亜子に戸惑う俺。
え?なんなの一体。
わからないままに、よしよしと頭を撫でた。
「ごめんっね、…困るよねっ。彼女、いるのに…こんなの…っだめ、だよね…っ」
泣き顏で無理して笑って見せる亜子に、本当に亜子は何かとんでもない勘違いをしてることに気づき始めた。
「亜子?何を勘違いしてんのか分からないけど、俺は亜子にずっと一途だよ?」
そう言うと、揺れる瞳。
本当に何か大変な思い違いをしてしまっているようだ。
