突然鳴り響いた着信音に、私を抱えながら首に唇を押し当てていたヨウの動きが止まった。
「…ヨウ、電話鳴ってるょ…?ゴホッ…」
はっとした表情になったヨウが、私から離れてポケットを探り電話に出た。
ぼーっとする中で、ヨウって携帯持ってたんだ…と何気なく思った。
「…シオ?」
ヨウの口から出た名前に体が固まる。
自然と電話の内容に耳が傾いた。
泣き声が小さく洩れて聞こえてくる。
「…うん……うん………大丈夫だから、とりあえず落ち着け。今すぐ行くから待ってろ、な?」
そう言って電話を切ったヨウ。
「亜子ごめん、ちょっと用が出来たから出かけるね。
…一人で大丈夫?」
目を閉じたまま何度か頷いてみせた。
「ゆっくり休むんだよ。薬もちゃんと飲んでね?
」
私の頭を優しく撫でた後暫くして部屋から出て行く音が聞こえた。
そのまま目を瞑ったまま眠った。
目を開いたら、何故だか涙が零れてきちゃいそうだったから。
