「亜子、俺にもちゅーしてよ」
至近距離で顔をくっつけるようにそう言うと、戸惑う表情を見せる亜子。
「よ、よう…」
「してくんないの?あいつとはしたのに?」
「ち、違うよ、違うよヨウ」
「何が違うの?俺はあいつとは違うってこと?」
「そーじゃっ…なくて…」
「じゃあなに?あいつとはして、俺とは出来ないの?」
ちょっとやり過ぎか、と泣きそうな顔になる亜子を見て思ったが、もうそんなことよりも自分のことでいっぱいになっていた。
明らかに怪しかった亜子をつけて入った居酒屋では何が女子会なんだか、男もわんさかいた。
亜子に寄り添う男にイライラしつつも、そのまま様子を見ていたら何故か二人はキス。
おまけに照れた表情の亜子に抑えが聞かなくなって、相手の男を突き飛ばした。
本当に胸糞悪い。隙があり過ぎる亜子も亜子だ。
「ょ、ヨウ?怒ってるの?ね、怒ってるの…?」
「俺とはキス、いやだ?」
「………」
顔を臥せてしまった亜子に、本当に俺嫌われてんの?ってショックを受けた。
亜子もまんざらじゃないって思ってたのに。
「…ヨウちゃん?」
「…なに?」
顔を上げた亜子を見ると、何か言いたげに頬を染めていた。
