「あのね亜子、そんなかっこしてるとまじ襲うから」


ミニ丈のワンピースのせいで、いろいろとやばい。
三角座りでそんな風に見つめられても本当に困るんだけど。

怒りたい気持ちでいっぱいだったのに、亜子に見つめられると全部許してあげたくなる。
不安そうな顔を笑顔に変えてあげたいと思ってしまう。
無論、不安そうな顔にさせてるのは自分だと分かってはいるが、許せることと許せないことがある。相反する気持ちで、俺のせいでそんな顔をする亜子を見ると、おかしな征服感を抱いてしまうから不思議だった。


着せようとするのに亜子は懲りずに抵抗した。


「はぁ。亜子…風邪ひいても俺、しらないよ?」


そういうと益々亜子の顔がむすっと膨れた。



「……も………ぅじゃんっ」



「え?」



「ヨウも…風邪ひいちゃうっ…じゃんかっ」



そんなことで、と思いつつも何だか頬が緩んできた。



「なに、俺の心配してくれてんの?」


ぷくっと膨れた頬に触れると、まだ酔いが冷めてないのか少し熱をもっていた。
そういえば性格もいつもより甘えたになっている気がする。


「らって…ヨウ半袖だよ?絶対寒いよ?ね?」


「そう言う亜子は肩紐だよ?寒いでしょ?」



俺が笑うと亜子もクスクス笑い出した。
人通りの無い路地で、まるで秘密の話でもするかのように小さく笑いあった。