ヨウに手を引かれながら路地をとぼとぼ歩き続けていた。
どう見ても不機嫌オーラマックスで、話しかけるのも憚られるほどだ。


「っくちゅん」


そう言えば、行きは羽織っていた羽織り物を着ていないことに気づいた。
どうやら店に忘れてきてしまったみたいだ。
せっかくこの前みたいに寒い思いをしないようにと思ってたのに…。
でも酔いはまだ冷めきっていないようで、少しの肌寒さも心地よく感じた。

くしゃみをしたと同時に止まって私を見ていたヨウと目が合う。


「…ヨウ?」


「〜〜っもう!」


見つめあったままでいると、何かを堪えきれなくなったようなヨウは頭をかきながら地面へとへたり込んだ。


「ヨウ?どーしたの?」


同じように座り込んで顔を見ようと覗き込むと、
何か言いたげなヨウと視線が絡んだ。



「ヨウー?よーうーっ。よぉーちゃん?」


「…ばかっ。そんなかっこすんな!」



ふいっと顔を背けながら羽織っていたジャケットを脱いで亜子へと投げつけた。



「わっ。びっくりしたぁ。何なのー?」


「…それでも着とけ。風邪ひくぞ」


迷った様子でジャケットを抱えたままの亜子に、舌打ち一つして無理矢理被せようとした。


「やっ」


「は?何が嫌なの。着ろって」


イヤイヤと頭をふる亜子にどうしたものかと溜息をついた。