「亜子っ!亜子っ!!夜どっか食べ行こうよ!」


「だーめ。今日はもう予定入ってるから。」


日曜日、久しぶりに学校もバイトも入っていない落ち着いた休日、と思っていたが、昼前からわーわーと煩い一匹の、いや一人というべきなのか、ヨウが押しかけてきていた。


初めはもしかして家も何もないんじゃないかと心配したが、猫だった時に飼われていた家を家族として、世界では何事もなかったかのようにヨウは受け入れられているらしかった。

まぁそういうのはどこまでがどうであるのだとかは、まだ私はハッキリとは知らない。
ただ、ヨウは確実に何処かへと帰っていき、しつこいほどに私の前へと現れた。

私はというと、まだ違和感はあるがあまりにも非現実的過ぎて、むしろもうどうとでもなってくれとクロをヨウとして受け入れていた。


そしてそんな今日も、昼過ぎまで寝坊する予定だったのがあっという間にかき消されてしまった。



「亜子の意地悪っ!そんなに俺と外出るのやだ?」


「いや、そんなことは…」


「そんなことは…?」


じぃっと不機嫌そうな顔が痛いほどに私を見つめる。

先日も、今日のようにヨウに誘われてというか、ヨウのお願いで回転寿司を食べに行った。
もちろんそれに関しては、私もお寿司は好きだし問題はない。
けれど、ヨウを見つめる周囲の目にすぐ店を出たくなった。
街中を歩いていても、何をしていてもヨウといるととにかく目立つ。
本人が無関心なのがさらに問題。

そんなわけで、どちらかと言えばヨウとのお出かけはお断りしたいのが本音なのである。

しかし今日断ったのにはちゃんとした理由があった。