甘い果実



「わぁー、亜子ちゃん超気に入られてるじゃんー」

はっとすれば携帯を除き込んでる美咲。


「ちょ、ちょっと勝手に見ないでよ!」


「いいじゃんいいじゃん~。
今日晩御飯行かない?って亜子ちゃんどうすんのぉー?」


人事と思って楽しそうに話しかけてくる美咲に次は私が膨れた。
どうするもなにも、今日はバイトだし!


「…断るよ。」

「え~っ!もったいない!!」


美咲がここまで言うのも確かに分かる。
昨日の合コンで出会った佐土 咲斗君は近くの大学の3回生で、見た目はチャラそうだけど人懐っこい笑顔が特徴のイケメン。
その笑顔にやられて、ついアドレスも交換してしまったのだ。


亜子ちゃんって、わけ分かんないー!と言い続ける美咲を無視して、単調なお断りメールを送信した。